Lonesome_Blue『Second To None』
オフィシャルインタビュー
Lonesome_Blue アルバム『Second To None』インタビュー
メタルやハードロックをベースにした重厚なサウンドと、ヴォーカル・野村麻衣子の流麗かつヘヴィーなサウンドに映える凛としたヴォーカルで注目を集めた次世代型ハイブリッドガールズロックバンド、Lonesome_Blue。メジャーデビュー 1st EP「First Utterance」で始動してから約6カ月、12月21日(水)に1st フルアルバム『Second To None』をリリースする。
バンドに対する意識を受動的から能動的へとシフトチェンジした彼女たちが放つ今作は、新たな挑戦が詰まった意欲作。タイトルにも込めた“誰にも負けない”という強い思いをたっぷりと語ってもらった。
──6月22日にメジャーデビューされて、環境や意識などにどんな変化がありましたか?
広瀬:私はマインドが変わりました。「楽しそう、やる!」っていう感じで始めたものの、どうなるのかな?って思っていたんですよ。
メンバーとの相性もあるだろうし、この先もやっていけるのかどうかってわからないことだから。
でも、メンバーのみんなと話をしていくうちに、みんながしっかりとこのバンドについて考えてくれているし、“こうしたい、ああしたい”っていう思いをちゃんと持っている人たちなんだとわかったので、“このバンドをもっと長く続けていきたいな”っていうマインドにどんどん変わってきています。
“もっとたくさんの人にこのバンドを知ってほしいな”って、メンバーと話をして思うようになりました。
野村:確かにゆうきちゃんは「このメンバー本当に最高なんだよね」って、ずっとぶつぶつ言ってました(笑)。
「逸材揃っちゃった。これはもっと知ってもらうべき」って。
──そう言えば広瀬さんは前回、MIZUKIさんと成美さんの第一印象を「すごいロックな人だなと思った」というお話をされていましたが、デビューしてから広瀬さんはどうですか?ロックな人になりました?
広瀬:気分だけは(笑)。
一同:アハハハハハ!
野村:ゆうきちゃんは結構メンタルがロックなんですよ。楽器の経験はもちろんお二人に
は及ばないけれど、メンタル的なロックさは……。
広瀬:バイブス、バイブス!
野村:ロックバイブスはめちゃくちゃあるし、4人の中で“いくぜ!”っていう感じは力強く感じます。
広瀬:ありがとうございます(笑)。
──野村さんのロックバイブスはいかがですか?
MIZUKI:気になる気になる(笑)!
野村:表面的にロックバイブスが表れているかはわからないんですけど、結構心の中では
……大人なので表には出さないですけど“ふざけんなよ!”って思ったりすることもあるから、そういう意味合いではあるのかもしれないですね。
MIZUKI:今回のアルバム、歌がすごいいいんですよ。自分でも感じたんですか?“いけたぜ!”って。
野村:前回のEPで自分の歌を録ったものを聴いて、もっとこうしたかったなとか思うところがあって、そういうところを改善していきたいなと思ってました。
MIZUKI:でも超えていけたんじゃない?素敵でした。
野村:本当?良かった(笑)。
──MIZUKIさんと成美さんは前作を踏まえて変化したことはありますか?
MIZUKI:私は前作の曲も今回の曲も踏まえて、いずれ有観客のライヴをやるだろうっていう気持ちも込めつつ、ジムに通い始めました。
フィジカル的にやっぱり大変だなと思ってパーソナルトレーナーさんについてもらって、ガチで今までとは違うものをやってるという思いで体を作り直そうと思って。
成美:このために?
MIZUKI:うん、このバンドのために。
最後まで怯まないで思いっきりライヴができるように体作りを頑張っています。
成美:私はやっぱりエンターテインメントとして人に寄り添う音楽が好きなので、そっちに近づきつつ、音楽が人にも「こういうところがいいよね」みたいなことを言ってもらえるように、ちょっとニッチなテイストを入れてみたりしたんですが、それが前作よりはうまくできたかなと思います。
──1stアルバムを作るにあたって、方向性やコンセプトについてみなさんで話し合われたのですか?
広瀬:はい。プロデューサーさんがみんなを集めてくださったんですけど、プロデューサーさんも声優とミュージシャンでバンドをやるのが初めてだったので、道なき道を行かなきゃいけないわけじゃないですか。
だから次にどういうアルバムを出したら、まだロンブルを知らない方たちやいろんな人に私たちの曲を届けることができるんだろうって話し合いをして。その時に、私と麻衣ちゃんが声優だから、まずはそっちに焦点を絞ってアニソンっぽい明るい前向きな曲がいいんじゃないかと、そういう曲を聴かせてくださったんですよ。
でも、私たちがそれに大反対して。
成美:私、「嫌い」って言っちゃいました(笑)。
広瀬:私自身も麻衣ちゃんは声優だけど声優らしからぬ歌唱力や英語の発音があって、そこがギャップだと思うので、麻衣ちゃんにしか歌えない歌、麻衣ちゃんにしか届けられない曲を作りたいとプロデューサーさんにお伝えしました。
成美:声優さんと言っても、ロックバンドという形で活動してきた下地がある方たちなので、他の声優さんと一緒にしてしまうのは絶対にもったいないなっていう気持ちがあったので、一緒にいる私たちはロックな演奏をし続けたいなと思いました。
MIZUKI:そもそも女性ミュージシャンっていうだけでバカにされたりすることもあるんですよ。
私もいろんな現場でずっとそういう思いをしてきたんです。
「思ってたより叩けるね」って言われたり。
だから誰にも負けない!みたいな思いも込めて作りました。
広瀬:アルバムタイトルの『Second To None』がまさにそういう意味なんです。
誰にも負けない、私たちがこの道の一番でありたい、誰にも負けないところに立っていたいっていう。
なので、メタルに振り切るのか、それともどういうロックを作っていけばいいだろう?みたいなことをみんなで悩んで話し合ったんですけど、一番は麻衣ちゃんが歌いやすいもの、麻衣ちゃんの声にバチっとハマるものにしたいということ、メタルオンリーではなくてクールな感じも入れたい、ラウドロックでなおかつMIZUKIちゃんと成美ちゃん2人が今までやってきた素晴らしいテクニックも活かせるようなもの、そういうものがこのアルバムに詰まっていると思います。
──“このバンドでやっていく”と腹を括ったというか、覚悟を決めたような印象を今のお話から受けました。今作で一番最初に取り掛かったのはどの曲ですか?
広瀬:7曲目の「Superhero」です。
──そうなんですか。この曲は今作の中でも特に異色な感じがしました。
広瀬:この曲は前作を作っていた流れの中にあった曲なんですよ。前作の流れで作っていた曲は、その後の話し合いの末にボツになっていって、この曲だけが残ったんです。
他の曲は話し合いの後で一気に作っていったものなので、この曲だけちょっと異色な感じがしたのかもしれないですね。
──なるほど。変拍子だから歌も難しかっただろうなと。
野村:めっちゃ難しかったです!こういうリズムで歌ったことがなかったので、ただただ私の初挑戦が詰まりすぎています。
サビに入るところなんて、自分が聴いて練習していたのが間違っていて、正しいタイミングが全然掴めなくてすごい苦労しました。
自分が声優を初めて今までレコーディングしてきた曲の中で、一番苦労した曲です。
たぶん聴いてる方はわからないと思うんですよ。
だから試しに一度歌ってみてほしい(笑)。
MIZUKI:確かにサビの入りが難しいよね。
私はドラムインの最初の4小節は自分で作らせてもらって、最後の8小節もドラムソロをやっていいよって言われたので自分で考えて入れさせていただきました。
成美:ギターはコード進行が面白いので、コードのボイシングを結構こだわりました。
そんなに派手なプレーはしてないんですけど、ちょっと面倒くさい押さえ方をしていたりします。
ライヴだとたぶんリードを弾きっぱなしになるので、すごい緊張しそうな気がしています。
それと浮遊感を出してみました。
広瀬:その浮遊感が好きです。
私はこのプログレ感がすごい好きだなと思っていて、歌詞もすごい好きなんです。
──1曲目に戻りますが「Face The Fear」は、歌詞に日本語も入ってますね。それは成美さんが最初におっしゃっていた“エンターテインメントとして人に寄り添う音楽”を意識されてのことなんでしょうか?
成美:そうですね。
やっぱり日本で売れたいっていう気持ちがあるので、海外だけを見るのではなく、日本で好きって言ってくださる方たちにも寄り添っていきたいっていう気持
ちがあったので、伝わりやすい言葉を使いたいなとずっと思っていました。
野村:前作の1st EPは全曲英語だったので、聴いてくださった方たちには英語詞の印象がついていると思うんです。
そんな中で今作一曲目の二番から急に日本語が出てくるので、“日本語になったぞ?!”って違和感を感じられないように、
英語と日本語が地続きに馴染んで聴こえるように意識して歌いました。
──サウンド面ではどんなアプローチをされましたか?
MIZUKI:この曲ではイントロとアウトロと間奏、全部フレーズを変えましたね。
だんだん激しく大きくなっていくように心掛けました。
あと、意外と3拍子が入っているので難しいんですよ。
でも、それも違和感なく主メロに合ったような感じで入っていて自然な感じなので、それがすごいかっこいいなと思っています。
成美:J-パンクロック的な感じで弾いちゃうと、いきなり変拍子が入ってきて乗れない、みたいな感じの曲なので、お客さんが困惑するのがちょっと楽しみです(笑)。
広瀬:この曲は一番最初に練習したんですけど、「今作は前作より簡単になるよ」って言われていたのに“話が違うぜ”って思いました(笑)。
2番の“笑われたっていい”からの歌詞がLonesome_Blueっぽくて好きです。
野村:タイトルもメッセージもド直球で、私の気持ち的には胸ぐら掴んで「こっち向けよ」ってやってるような感じの印象があって(笑)。
MVもド直球というような演奏シーン盛りだくさんになっていて、すごく気に入っています。
──2曲目の「Body Rock」は、バンドの紹介ソングのような楽しいナンバーですね。
野村:そうなんですよ。アイドルの曲でメンバーが一人ずつ自己紹介するような曲があるじゃないですか。
それに近い感じがあって、私はすごく気に入ってます。“一緒に行くよイエイ!”みたいなノリノリな感じが楽しいなあって思っています。
MIZUKI:そして麻衣ちゃんのラップもすごいカッコいいんですよ。
野村:以前、ゲームの『荒野行動』のテーマソングを歌わせていただいたことがあって、それがラップ盛り盛りの曲だったんですよ。
それで、この曲も『荒野行動』の曲と同じ作詞家さんに書いていただいたんです。
ラップってすごく楽しいなと思っていたので、今回こんな感じで入れていただけて嬉しかったです。
広瀬:歌詞だけを見るとすごくキャッチーな印象なんですけど、曲を聴いたらしっかりロックでカッコいいんですよね。
めっちゃ乗れそうな曲だなと思うので、早くライヴでやってみたいなと思います。
MIZUKI:私はこんなパンクみたいな曲ができて嬉しくて、一番この曲が好きです。
好きだからこそ叩きやすかったし、フィルも考えやすかったし、楽しいなと思いながらレコーディングをしました。
成美:この曲を初めて聴いた時に、清々しく“陽”の方向に向いているなと思って。
私はメタル界隈にいたので、やっぱりどこか陰鬱な雰囲気に慣れていたので、いい意味でチャラいと言いますか(笑)、深みのなさとか軽さがすごく気楽で、ライヴ映えする曲だなと思います。
あとアレンジャーのTako Yamaguchiさんのカラーが色濃く出ているので、私も勉強しながら弾かせていただきました。
自分だけで弾いてたら、こうはならないだろうなっていう感じのアレンジになっています。
メジャーにいってたくさんの方と一緒に仕事をすることで、いい影響を受けられるなって思いました。
──3曲目の「It’s My Time」は、耳が忙しいくらい聴きどころが満載なんですよね。
まず野村さんのヴォーカルはずーっと声が長く伸びているところとか、グンと上がっていくところとか、とにかくフェイクがカッコいいです。
野村:いくつか試しながら録っていって、どのテイクがいいかディレクターさんたちと話しながらみんなで決めました。
この曲も“Lonesome_Blueでやったるぞ!”っていう感じのストレートな曲だなと思っています。
MIZUKI:私はこの曲の2Aのところにちょっとジャズみたいな雰囲気を入れたんですよ。
私がレコーディングする時にはすでに歌が先に入っていたんですが、その部分は何か意識したりしましたか?
野村:これがジャズ風だったんだ?!と(笑)。
──あのジャズっぽい部分もこの曲のフックになっていると思いますが、デモからそうなっ
ていたんですか?
MIZUKI:そうなんです。でも歌に合わせて少しフィルは変えさせてもらいました。
成美:どジャズではないのでコード的なところでは疑問はなかったんですけど、それまでメタル的に勢いよくピックで弾いていたのを、
そこだけ指弾きにしてふわっと響くようにしました。
広瀬:この曲は同じ言葉を何度も繰り返している潔さも聴いていて気持ちがいいです。
ベースに関しては前作のベースのテクニカルな感じを落としたくないっていう話があって。
Lonesome_Blueとしていい作品を届けるには私のレベルに合わせるんじゃダメだなと思っていたので、その結果難しいです、このベースも(笑)。
──ギターとベースがユニゾンしているところもカッコいいですよね。
広瀬:そうなんですよ。ギターとユニゾンしてて聴かせにくるんですよ。
成美:ギタリスト的には、このユニゾンは運指が面倒くさいんだけどなと思いながら弾いてました(笑)。
──音の隅々までぜひ聴いてほしいです。4曲目の「Blue Like Sapphire(The Flower OfHope)」は歌始まりの切ないメロディが印象的な曲です。
野村:私はこの曲を歌うのが一番楽しかったです。
一番気持ちよく歌えるテンポの曲です。
作詞家のnana hatoriさんがおっしゃっていたんですけど、青い薔薇ってそれまで自然界には存在しなくて着色して作ったりしていたんだけど、最近になって技術が進んで青い薔薇が作れるようになったということから着想を得て歌詞を書かれたそうなんです。
そういうお話を聞いて、ちょっと曲の捉え方が変わりました。
──最後のシャウトも胸にきますね。
野村:シャウトも正解がよくわからないなと思いながらやったんですけど、一回目で「これがいいです」って言っていただけて、よかったーと思いました。
MIZUKI:結構入ってきやすいメロですよね。
J-POPみたいな聴きやすいメロだなと思いました。
ちょっと暗めでエモい感じもいい。ドラムはひたすらにエモくエモく叩きました(笑)。
成美:確かに昭和歌謡っぽいような、子供の頃に聴いていたメロのような感じがしていて、アレンジも90年代ぐらいのバンドアレンジに聴こえたので、すんなり入りやすかったですね。
たぶん日本人のDNAに組み込まれているんだろうなっていう感じでした。
広瀬:この曲はアウトロがない感じが好きです。でもプツッとキレるんじゃなくて、余韻を残して去っていく感じ。
この曲は何回も聴けば聴くほど染み渡ってくる曲なんじゃないかなって思います。スルメ感が強い。
──そして5曲目の「Mine」は野村さんが初めて作詞に挑戦された曲です。何かきっかけがあったんですか?
野村:バンドをするにあたって、ヴォーカルが自分自身の言葉で歌った方がいいに決まっていると思っていたので、「作詞をしてみるのはいかがですか?」と言われた時から、やってみたいなとは思っていたんです。
その時は結構軽い気持ちでやってみたいと思ったんですけど、取り掛かってみたら本当に辛くて(笑)。
音に合うように言葉をはめるのは本当に難しいなと思いました。
──どういうことを取っ掛かりにして、言葉を紡いでいかれたのですか?
野村:自分が今まで生きてきた中で、嫌なこととか苦しかったこととか、そういうことを経験しながら大人になっていくんですけど、そういうことって忘れそうで忘れないじゃないですか。
忘れきることはないし、忘れたいとも思っていないし。誰しもが経験しているようなことなんですけど、その人の気持ちはその人のものでしかなく、誰かの気持ちを完全にはわかることもできないし、誰かにわかってもらうこともできない。
だから自分にまつわる全ては全部自分自身だけのものなんだっていう意味で、こういう歌詞、タイトルにしました。
広瀬:麻衣ちゃんって“今日は晴れ!空が青い!”“太陽が昇ってて最高!”みたいなご機嫌で前向きなことを言葉にしていることが多いので、こういう内面をしっかり文字にして表面化されたことが非常に興味深いなと思っています。
麻衣ちゃんのファンの方たちもきっとこの歌詞は興味づかいと思う。
たぶん今まで見せたことないでしょ?
野村:確かに仕事をし始めてから、私は明るさを取り戻したんですよ。
だから、こういうちょっと暗いような雰囲気の私は、もしかしたらみなさんは知らないかもしれないですね。
MIZUKI:この曲は最初にスネアソロみたいなのがあるんですけど、ギターとユニゾンしています。
その部分はスネアを2回録って重ねてもらったんですけど、すごくこだわってできたのでよかったなと思っています。
成美:この曲は結構最初の方に着手して、1曲目の「Face The Fear」の後に録ったので、その流れでちょっとラウドを入れつつ、ハードロック的なテイストも入れつつ、途中のセクションでちょっと今っぽい好きなこともやりつつ。
今好きなものと過去に自分がやってきたものを混ぜた感じでギターを録りました。
──6曲目の「Hide And Seek」はパンクですね。Lonesome_Blueの新たな一面を見ることができました。
成美:作曲の黒須克彦さんがパンク畑の方で、ゆうきちゃんが好きでお願いしたっていう経緯があるんです。
今までなかなかザ・パンクなことをやる機会がなかったんですけど、思いのほかギターが大変で(笑)。
トラック数がとてつもないことになっています。
そしてとにかく速い。
しかもそれをダウンピッキングしてるので。
MIZUKI:それはすごいです。お疲れ様でした(笑)。
成美:パンクはパンクの大変さがあることを身をもって知りました。
でも世代的にパンク好きは多いと思うので、ライヴでは思いっきり暴れてくれたらいいなと思います。
MIZUKI:この曲は本当に速いんですよ。テンポ196だったと思う。2小節バスドラを16分で踏むところがあるんですけど、“黒須さん、試練をありがとうございます”って思っています(笑)。
レコーディングでは一発でなんとかいきました。あと、コーラスもちょっと参加させていただいて、すごい楽しかったです。
でもライヴ本番では忙しいので、できるかどうかわかりません(笑)。
広瀬:黒須さんとは私がガールズユニットをやっていた時代から面識があって。
黒須さんが作る曲がすごい好きだったのでプロデューサーさんに紹介をしたら、トントン拍子に話が進んで、作っていただけることになりました。
疾走感のある曲で、何をそんなに急ぐことがあるんだい?って思っていたんですけど(笑)、歌詞も何かから逃げている感じがしたので、そこでしっくりしました。
結構追い詰めてくる感じの歌詞ですよね。
──かなりスリリングですよね。“かくれんぼ”とタイトル通りにも捉えられますが、ちょっと病んだ恋愛ソングにも聴こえたりするし、面白い曲ですよね。
広瀬:確かに、ちょっと病んでいる感じがして、なんかスリルがある曲ですよね。
途中、私の掛け声も入っているので、ライヴで声が出せるようになったら、私と一緒に声を出していただけたらいいなと思います。
野村:パンクっぽくて、“ついて来れるの?”って挑発する感じで歌っていて、すごく楽しかったです。
“Locked on”や“Count down”のところとか、ライヴでやったらきっと楽しいところだなと思いながら歌っていました。
──8曲目の「Aurora」はAメロの語りのようなヴォーカルからゾクゾクしますね。
野村:音にはめようとしなくていいから、ボソボソ語っている感じにしてほしいと言われ、その塩梅が難しかったような記憶があります。
ラップでもないし、メロディでもないし。
イメージ的には1人で夜空の中で歌っているような感じがする、ロマンチックな曲だなと個人的に思っていて。
他の曲とはちょっと違うところにある感じがしてお気に入りです。
MIZUKI:ドラムはサビのリズムが意外と難しくて不思議なリズムパターンだったんですよ。
だからレコーディング前にちょっと練習していきましたね。あと、ジェントのところがすごく難しかったです。
この曲はすごくギターがカッコいいと思っていて。
特にラストサビ前のギターが。
成美:ありがとうございます(笑)。
元々ディミニッシュのフレーズが入っていたんですけど、そのデモ通りにたぶん弾きたくなかったんでしょうね(笑)。
あそこはシンセとかが入ってなくてコードが定まっていないので、ギタリスト的にすごく自由な場所なんですよ。
そこですっごい気持ち悪いスケールをぶちこんでやろうと、ちょっとムシャクシャしたノリでやった感じです。
コンビネーションディミニッシュっていうスケールを使いました。
広瀬:この曲はちょっと幻想的というか、夢の中の感じがありますよね。
夢心地感がある曲で、ハッと目が覚めちゃう感じのブレイクが好きです。
──9曲目の「Blind In The Chaos」はストレートなハードロック。とてもシリアスな曲です
ね。
聞き様によって失恋ソングにも聴こえるなと。
野村:この曲はどうやって歌ったらいいんだろう?って思いながら、ちょっと悩みつつ歌っていたような記憶があります。
今まで自分の中に引き出しがなかったような感じの歌で、どうやって歌おう?って悩みながら歌っていました。
成美:ジャンル的には今まで私がやってきたこと音楽に近い曲だなと思ったんですけど、Maoさんが曲を作っているので、運指がとてつもないことになっていて、ギタリスト的にはちょっと苦労しながら録りました。
MIZUKI:私はこのテンポが絶妙で難しかったですね。
なんか速いし、なんか難しい(笑)。
16分だとすごく速いし、8分だとちょっと遅く感じるし。
不思議でした。
広瀬:この曲のBメロのところにガッツリ私のコーラスが入っています。
あと2番のAメロの“crazy”のところは歌う予定がなかったんですけど、“crazy”って2回言ってるから、掛け合いにしたら楽しいんじゃないかっていうことになって、掛け合いになりました。
これも指を動かしながらコーラスするのは大変だと思ったので、練習しなきゃなと思いました。
──疾走感のある10曲目の「Rising Up For Gloria」はスケール感もあって、ラストを締め括
るにふさわしい曲だなと思いました。
成美:音数がすごい詰まっているなと思いながら、バッキングがすでにリードみたいなアレンジだったので、これはMaoさん全任せでそのまま弾きました。
広瀬:この曲もドコドコ系ですよね。
成美:最前列のお客さんがヘドバンしてるのが見える。
MIZUKI:確かに(笑)。
これはもう踏み倒すしかないですね。
辛かったです。
足がパンパンになりました。まだ麻衣ちゃんの歌が入ってなかったので、歌が楽しみだなと思っていたら、めちゃくちゃギャップがあって、「めっちゃいいじゃん!」ってすごいニヤニヤしながら聴きました。
野村:すごくメタルっぽい楽曲で、私はいかにもメタルみたいな感じの曲を歌ってきたことがなくて、私がこれを歌っていいのかな?っていう感覚もあり、初めて着る服みたいな感覚で歌いました。
意外と合ってていいねっていうふうに言っていただけたので、よかったなと思いました。
広瀬:こういう曲もアルバムに入れたいねっていう話はみんなでしていて、腹を括った結果ではあるんですけど(笑)、まさか最後にこんな展開がくるとは!と、ビックリしました。
麻衣ちゃんのファンの人もきっとビックリすると思う。
──改めて完成した今作を聴いて、どんなアルバムになったと思いますか?
野村:前作『First Utterance』とはまた雰囲気もガラッと変わって新しい挑戦だなと思うし、今作で新たな一面を見てもらって、前作を聴いてくださった方に“こんな面もあるんだね”と知ってもらえたら嬉しいですし、新しい人にも聴いてもらえたら嬉しいです。
広瀬:私たちはこれまで、それぞれの場所でいろんな活動をしてきた人間で、同じところを見てきたところもあれば、違うものを見てきたところもあって、その上で今同じバンドをやっているっていう状況じゃないですか。
だからこのアルバムは、4人それぞれがこれまで歩んできた歴史の集合体なんじゃないかなと思っているんです。
それぞれがやってきた音楽や、それぞれが聴いてきた音楽のルーツがこの10曲に詰まってます。
この4人にしか出来ない、この4人にしか出せないアルバムなんじゃないかなって思います。
MIZUKI:1st EPに今回のアルバム曲がプラスされて、さらに幅が広がったなと思います。
アルバムのテーマにもなってますけど、“負けたくない”とか“1番になりたい”とか、そういう思いが詰め込まれたアルバムになってよかったなって思っています。
成美:メンバー1人1人の音楽性がそもそも被っていないので、今はとりあえずぶつかることもなく、いろんなことをやっているんですけど、どんどん4人で練って新しい作品を作れるようになれたらいいなと思いながら、今回の作品をたくさんのみなさまに聴いてもらえたらいいなと思います。
──2023年2月11日(土)に東京・Veats Shibuyaでの初ライヴが決定しました。ライヴに
向けた意気込みを聞かせてください。
野村:シンプルに今は不安でいっぱいなんですけど、私たちの初めてのライヴなので、そのステージを観て“次も観に行きたい”って思ってもらいたいっていうのが一番ですね。
みなさんにそう思ってもらえるようなライヴにしたいと思います。
広瀬:私はまさに“Second To Noneじゃん”ってライブを観た人たちに思わせたいです。
声優とミュージシャンを掛け合わせた理由を、口で説明せずともライブで感じてもらえたら嬉しいです。
最初ってやっぱりすごく大事じゃないですか。
このバンドに期待して来てくれるお客さんに、またライブに行きたいと思っていただけるかどうかは、私たちのパフォーマンス次第だと思っているので、何曲もベーシストとしてパフォーマンスしたことがないのでどんなライブになるのか今はまだ想像がつかないのですが、“絶対次も行きたい”って思わせるぐらいのパフォーマンスをしなきゃなっていう意気込みでいます。
MIZUKI:みなさんに“Lonesome_Blueっていいね”って思ってもらいたいですよね。
1st EPも今回のアルバムもどの曲もいい曲なんで、この曲の良さをちゃんとライヴでも出せるように頑張りたいなと思うのと、フィジカルをもっと強くして備えたいと思います。
パワー!(笑)
成美:ギタリストとして安心して観てもらえるようなフィジカルをつけつつ、自分だけが必死だと人を楽しませることに集中ができないので、お客さんにちゃんと楽しんでもらえるように下準備をしておきたいなと思います。
TEXT :大窪由香